第37回 JUONのあの人
佐藤敬一さん
佐藤先生は、1958年に東京都北区で生まれた。現在、東京農工大学農学部環境資源科学科で教える。もともと旅行が好きで、学生時代に史跡探訪会というサークルに入部。ユースホステルを利用して全国を旅行した。「特に歩いて旅行するのが好きだった。ユースホステルってね、駅から歩いて1時間や2時間のところにあるのがざらだった。田舎でね。今じゃ考えられないよね(笑)。」
佐藤敬一さん
佐藤先生は、1958年に東京都北区で生まれた。現在、東京農工大学農学部環境資源科学科で教える。もともと旅行が好きで、学生時代に史跡探訪会というサークルに入部。ユースホステルを利用して全国を旅行した。「特に歩いて旅行するのが好きだった。ユースホステルってね、駅から歩いて1時間や2時間のところにあるのがざらだった。田舎でね。今じゃ考えられないよね(笑)。」
設立20周年を迎える今年度は、設立当初から役員を続けている方にお話を伺っていますが、その2人目は佐藤敬一さんです。東京農工大学農学部の准教授で、「樹恩割り箸」や「エコサーバー」の取り組みに力を入れてきた佐藤先生に、これまでの思いとこれからについて、語っていただきました。
木材利用を進めるためには、市民の環境教育が大切。
「生まれは北区西ケ原ってところでね。だから逆に田舎に憧れたよね。」
東京都の都心で生まれた佐藤先生。母親の田舎に帰省するたびに、のんびりした雰囲気や田んぼの風景に惹かれ、子どもの頃から田舎に住みたいと思っていたという。生き物や自然を好み、科目では理科が好きだったと振り返る。
大学は木造建築を学びたいと、東京農工大学(以下、農工大)農学部林産学科に入学。材料としての木材に関心を持ち、大学院に進学し、博士課程は東京大学(以下、東大)へ。広く公益的な活動をしたいという思いから研究職を目指した。
「学生時代、色々旅行して、森林の関係を見たり、林業のところで話を聞いたりして。やっぱり日本の森林のためには、国産材・間伐材を使わなくちゃいけない。そのためには何か画期的な利用法がなくちゃいけないなって、大学院生ぐらいの時から思ってた。」
大学生協の委員になったのも東大院生時代から。助手として農工大に戻った際には、教職員委員会の設立に関わった。その後、東京地連(現・東京ブロック)環境委員会の委員長などを担い、今年6月までは農工大生協の理事長も務めた。現在、全国大学生活協同組合連合会(以下、大学生協連)の理事でもある。
「関係ない人達がここまで熱意を持ってね、関わろうとするのを見ちゃうと、逃げ出すわけにはいかんなこれはって、逆に自分の中の考え方が少し変わってきて。」
JUONとつながったのは、当時大学生協連の常務理事であった小林正美さん(JUON副会長)から、割り箸を事業として行ないたいと誘われたことがきっかけだ。
「大学生協で割り箸を使えば、一石二鳥にも三鳥にもなると提唱してたんですよ。間伐材を使った方がよいですよって。それを小林さんは耳にしたっていう。」
そして、1998年にJUONの設立と合わせて「樹恩割り箸」がスタート。その後、地球温暖化対策として、林野庁のバックアップで森林環境教育に関するプロジェクトが立ち上げられ、そのメンバーとなる。木材利用の専門家が求められたのだ。
「僕はJUONの理事で、林産学科だったし、割り箸を教材として考えてたから、ぴったりだったんですね。JUONで割り箸をやってたからこそ、呼ばれたんでしょう。」
プロジェクトのなかで、自然体験型の環境教育と初めて出会うことになる。
「最初はカルチャーショックだよね。でも、木材利用と根本は同じ考えだったから、これをやらないといけないなって。」
JUONでは2003年に資格検定制度「エコサーバー」を開始。そのテキストには「環境教育とインタープリター」という項目を先生が執筆している。06年に「エコサーバー・リーダー養成講座」が始まり、実際に自然体験型環境教育のアクティビティを取り扱っていった。
そして、活動を続けるなかで、アメリカで普及している環境教育プログラム「Project Learning Tree(PLT)」を知る。日本語では、「木と学ぼう」と訳され、目的・準備物・具体的なアクティビティ・評価方法などがパッケージになったプログラムだ。
ビジネスとしては成り立たない山だが、そのままにしておくわけにはいかない。木材以外の様々な利用方法を考え、提案しながら引き継いでいきたいと、原島さんは話す。政策からこぼれたものも拾っていかなければ、それは消えていくだけだからだ。
「自然体験型の環境教育は、普通の人達にはなかなかできないけど、PLTってのがあるよって聞いて、テキストを見たら、これはすごい!と思って。」
すぐにアメリカへ研修を受けに行き、PLTの資格を取得。エコサーバー・リーダー養成講座にも取り入れるようになった。現在では、農工大の学生とともに複数の小学校に赴き、出張授業としてPLTを実践している。
「樹恩割り箸」と「エコサーバー」に関わってきた佐藤先生。これからの活動について聞いた。
「木材利用を進めるためには、市民の環境教育が大切だと、JUONに関わるなかで感じて、実践してきたんです。今やっていて、これからもやりたいのが、協同学習。環境教育や大学生協の活動を行う上で、協同学習の手法を取り入れたい。」
参加者の平等が保たれ、互いにメリットが持てる学習の場にしていくためにも、ファシリテーションの方法論を整理していきたいと力を込める。
「僕のテーマってやっぱり、日本の森林と日本の若い人達。若い人達のためには、PLTなんかで木を使いながら協同学習をやって、ソーシャルスキルを身につけてもらいたい。若い人達が、世界に出て行けるように。」
2017年10月7日「エコサーバー・シニアリーダー養成講座」で、講師を務める佐藤先生。
2001年6月30日〜7月1日第3回総会・記念イベントでは、実行委員長を務めた。
遠藤 紗穂里・鹿住 貴之
JUON NETWORK 2018年 第107号
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