JUONのあの人: 第49回 毎田伸一さん

第49回 JUONのあの人
毎田伸一さん

毎田さんは、1966年に長崎県長崎市に生まれた。東京工業大学で生協学生委員会に入り、全国学生委員長も経験。卒業後、大学生協に就職し、昨年12月まで6年半、全国大学生活協同組 合連合会の専務理事を務めた。今年から日本生 活協同組合連合会に移籍し、現在、日本協同組合連携機構に出向中。2014~20年度JUONの副会長も務めた。子どもの頃から、リーダータイプだったわけではないという。「高校3年間学級委員長だったけど、1年の最初に先生にたまたまやれと言われて。授業の最初と最後に起立、礼、着席だけ言えばよくて、ほかの係よりよっぽど楽だった(笑)。」
 


JUONの設立を呼びかけた全国大学生活協同組合連合会。その専務理事あるいは常務理事には、JUONの理事に就任していただいています。2010年からは副会長職をお願いすることになりましたが、先日の総会において副会長を退任されたのが毎田伸一さんです。JUONとの出会いや今後の期待について、毎田さんに語っていただきました。
 
 

大学生協との関係を活かし、環境活動、NPO活動の接点になってほしい。


「大学の入学式の前に健康診断があって。出口のところに生協学生委員会の、何でも相談のテントがあって、そこで先輩と仲よくなったのが一番最初。」

長崎から上京し、東京工業大学(以下、東工大)に入学した毎田さんは、意図せず大学生協と出会うことになる。学生委員によくある話だそうだが、特に生活協同組合に関心があったわけではない。東工大に入ったのも、理系の道に進みたかったからではないそうだ。

「東京に行きたかったっていう、その一点ですね。得意だったり、関心があったのは社会とか文系だったけど、成績としては理科や数学の方がよくて。」

受験勉強との関係で相性のよいところを探し、東工大を受験した。

文系的要素が強いと思い、経営工学科を選んだが、入ってみると、理系そのもの。もう少し考えていればと思いつつ、次第に生協活動にはまり込んでいく。

「初めは学生委員会が何をするところなのか、全然考えていなかったんですよ。イベントサークルと勘違いしてたんだよね(笑)。」

隣の部室には、確かに生協系のイベントサークルもあったそうだが、そのうちに学生委員会では、平和活動がスタート。またもう少し考えていればと思っていた。そのようななか、6月に代替わりした後、ある先輩がイベントサークルから学生委員会に鞍替えして、平和活動のキャップをすることに。普段はちゃらちゃらしたことを言っている割には、しっかりと活動に取り組んでいる。その姿勢が、毎田さんにはカッコよく見えた。

生協学生委員会での活動は、その後、東京地連(現・東京ブロック)学生事務局、全国大学生活協同組合連合会(以下、大学生協連)の学生常勤、2年目には全国学生委員長を務めた。

「勉強するよりおもしろかったとうのが一番の理由。活動するなかで、他の大学の人とのつき合いも出てきて、東工大だけにいちゃいかんな、というのもあったかな。」

バブルの時流に乗って、どこかよいところに就職するという想像がつかなかった毎田さんは、大学生協に就職する。最初は、東京理科大学生協で、労働組合の専従職員も務めた。その後、専務理事になった星薬科大学生協で、初めてJUONの活動と具体的な接点を持つことになる。

「食堂では樹恩割り箸を使っていました。正規職員は一人。割り箸を注文して、使い終わった割り箸を段ボールに詰めて、リサイクルのためにパーティクルボードの工場に送るっていうのが、私の仕事でした。」

その後、いくつかの大学生協を経て、大学生協連の専務理事となり、そのタイミングで14年度からJUONの副会長になる。役員になってみると、樹恩割り箸だけではなく、それ以外にも様々な活動が数多く行われていたことを知った。

また、大学生協として、NPOや外部団体とのつき合い方やその必要性を感じてはいたが、初めてNPOの実際の運営に関わることになり、新鮮だったという。特に、20周年を迎えるにあたって議論したミッションの再構築や中期計画の策定については、とても大きな学びとなったそうだ。

「非営利組織のミッションはどう考えるべきなのか、すごく勉強になった。例えば、受入側の地元、行政など取り巻く人達が、どう思っているのか、どう期待しているのかとか。じゃあ、大学生協ってどういう役割なんだろうということも考えましたね。」

そのことは、19年度に樹恩割り箸の今後の方向を議論した際にも活きた。大学生協とJUONのコミュニケーション不足を指摘。コロナ禍において落ち込んだ割り箸利用を回復させるために、現在行っている大学生協との対話のベースとなっていると言える。

なお、ミッションや中期計画の議論のなかで出ていた職員の処遇について、その後具体的に着手できなかったことが心残りだという。今後の課題としてほしいと願っているそうだ。

役員としてはJUONから離れることになった毎田さんに、今後の期待を伺った。

「今は、学生がNPOに違和感なく参加する時代。大学生協との関係を活かしながら、環境活動、NPO活動の接点になってほしい。一方で、組織のアイデンティティーとして、若者の軸は外さないとしても、シニア層や家族連れの参加も今後はポイントになりそうだなと思っています。」
 

  • 2019年6月22日「第21回総会・記念イベント」の際の毎田さん。

  • 2018年11月18日「全国育樹祭」において、「東京都緑化等功労者」の表彰を受けた。
 
鹿住 貴之
JUON NETWORK 2021年 第119号