第35回 JUONのあの人
田口由紀絵さん
田口さんは1966年、長野県長野市で生まれた。幼い頃は放浪癖があり、2歳の頃には、いなくなって探されると、一人で人形を背負って近くのデパートまで行き、エレベーターに乗ったり降りたりしていたという。高校の夏には、親の後押しで、アメリカに1ヶ月間ホームステイをした。「すごいカルチャーショックで。自分のアイデンティティーにも影響を与えたと思っています。」
田口由紀絵さん
田口さんは1966年、長野県長野市で生まれた。幼い頃は放浪癖があり、2歳の頃には、いなくなって探されると、一人で人形を背負って近くのデパートまで行き、エレベーターに乗ったり降りたりしていたという。高校の夏には、親の後押しで、アメリカに1ヶ月間ホームステイをした。「すごいカルチャーショックで。自分のアイデンティティーにも影響を与えたと思っています。」
昨年からJUONでは、「Panasonic NPOサポート ファンド」の助成を受け、組織基盤強化に取り組んでいます。このなかで、組織診断をはじめとしたコンサルティングの前半をお願いしたのが、公益財団法人パブリックリソース財団です。担当者である事務局長の田口由紀絵さんに、JUONとの関わりや期待について、お話を聞きました。
市民社会を日本にも広げたい。
「アメリカで周りの人は皆、何らかの市民活動に関わっていて、何かあったら、じゃあ、自分達でどうにかしようって。動くことに対しても、周りがとても寛容で協力するし、これが市民社会なんだなと思って、それを日本にも広げたいと思って。」
田口さんは、民間の外資系銀行で社会人としてのキャリアをスタートし、その後転職して、非営利組織のマレーシア事務所へ。そこでマネジメントの難しさを痛感したことをきっかけにアメリカへ渡り、一年半かけて非営利経営修士号を取得した。そして、帰国後、アメリカで学んできたことを活かせるパブリックリソースセンター(現・パブリックリソース財団)に、設立後初の常勤スタッフとして入る。
「設立当初は、調査研究や仕組みづくりを中心に行っていました。今は、寄付を集めて基金にして、それを団体の支援に充てる。それで、支援先の評価やマネジメント支援をするという組織に変わりました。」
昨年4月からは事務局長となった。現在勤続16年目で、辞めることなく続けられているのはおもしろかったから、と振り返る。
JUONとの出会いは、パブリックリソース財団が実施する「E−ファンドレイジングチャレンジ」というインターネット上での寄付キャンペーンに、2013年JUONが参加した時。その後も何度か機会はあったが、Panasonic NPOサポート ファンド(パナソニック株式会社がNPOの組織基盤強化を目的に実施する助成金)の助成先にJUONが選ばれ、組織診断のフェーズをパブリックリソース財団へお願いすることになったことから、本格的につき合いが始まった。
「いろんな人がいろんなスタンスで関わっているおもしろい組織だなあと思って。その求心力って何だろうっていうのは、今でも思っています。」
イメージしていた組織とは違った、と田口さんは言う。
「たくさん事業をして、たくさんの人を巻き込んで、いろんな変化を起こしているはずなのに、聞けば出てくるけど、ぱっと見ても分からない。その変化を明らかにして、見える化する、というのを一緒にできたらと思います。」
JUONのことを思ってくれているからこそ出てくる鋭い指摘。見える化されると、支援が集まりやすくなる、活動を一緒にやっている人が同じ方向を向けるようになる、プログラムの改善をしていけるなどのメリットがあると話す。
また、昨年秋からは、田口さんが新たな事業評価のアプローチを学ぶために参加している「『伴走評価エキスパート』育成プログラム」の支援先団体として、JUONをサポートしていただいている。こうした方がよいと具体的に示すのではなく、一緒にやりましょうというスタンスで、これまで実施されてきた伝統的な評価とは異なる、「発展的評価」という概念。
「発展的評価を一言で言うと、『社会変革の役に立つ』評価。事業が終わってから振り返って評価するのではなくって、小刻みに一緒に評価しながらプロジェクトをしていくんです。評価者によってやり方は自由なんですけど、基準づくり、情報収集、それを元にした価値判断、そして、プログラムを変えていく、このサイクルを繰り返していくことは割りと共通しています。」
現在、今年度から始まった「森林ボランティア青年リーダー養成講座in四国」をモデルにしているが、それに加えて来年度以降は「森林の楽校」での実施も検討している。
多くの若い人が参加することで、受け入れる側も元気になり、それがうまく働いて、地域に戻ったり、住んだりする人が増えてほしいと言う田口さん。最後にJUONへの期待を伺った。
「なんとなく都会で生活するとか、高校出て大学に行って会社員になってというのが、多くの人が思う人生のステップなんだけど、それだけでいいのかって問いかけた時に、JUONのプログラムはそれを考えるきっかけになると思うんですね。だから、たくさんの若い人に参加してもらいたいし、地域には幸せな生き方がたくさんあることに、目覚めてもらいたいと思っています。」
2017年6月24日「第19回総会・記念イベント」の中長期計画検討ワークショップで、組織診断の結果について話す田口さん。
2017年11月「第1期森林ボランティア青年リーダー養成講座in四国」では進行役をお願いした。
鹿住 貴之・佐々木俊宙
JUON NETWORK 2018年 第105号
JUON NETWORK 2018年 第105号