JUON NETWORK設立趣意書


 

JUON NETWORK設立趣意書

 
われわれは「人・自然・環境」に思いをいたす全国の有志の組織として
JUON NETWORKを設立します。


 われわれが目指すのは、全国の都市と農山漁村の住民および国や自治体の関係者をネットワークで結び、森林・河川・湖沼・海浜などの環境と景観の保全改良、地方文化の発掘と普及、過疎過密問題の解決、不時の災害の救済・復旧などにたいする国民各層のボランティア活動を支援し拡大強化すること、そしてそれを通じて広く人々の間に連帯と協同の輪を広げていくことにあります。先の阪神淡路大震災や福井沖の流出重油汚染の際には、大学生協の組合員を含む何万人もの若者がボランティアとして全国から駆けつけ救援活動にあたり、大きな力を発揮しました。その中で、活動に参加した人々の間にも、地元の人々との間にも広く、深い連帯感がはぐくまれ今につづいております。われわれはこうした動きを一時のものに終わらせることなく、「ボランティア元年」を遠く未来に延ばし積み重ねていくことを念願しています。

 このNETWORKの活動すべき分野は多彩で無限であります。今すでに具体化が図られつつあることを見ても、例えば、都市と農山漁村を結ぶ「自然と文化のネットワーク」づくり、学生の森林体験を深め人間形成を促進するとともに荒廃した日本の森林の活性化を図るための「大学の森」の設置、間伐材の有効利用のためのさまざまな手法の開発、過疎地の廃校を利用したセミナーハウスの運営、青少年の心身の健全化を促進するための野外活動の組織化の支援、高齢者の自立・社会活動や余暇活動の充実を目指す高齢者協同組合との連繋と協力、生涯学習活動や文化協同組合づくりならびに流域をつなぐ協同組合ネットワークづくりの支援、諸外国とくにアジアの大学や大学生との交流事業の拡大強化等々があります。それ以外にもわれわれの活動を求めている分野はいくらでも考えられます。

 今、21世紀を目前にして世界の歴史は大きな転換点にさしかかっています。経済的な豊かさを求めて、経済成長至上主義のもと合理化、能率化を一面的に追求しつつ突走ってきた20世紀の社会体制はすでに制度疲労を惹き起こし、いたるところに深刻な矛盾、欠陥を露呈しております。政治、経済の混迷と停滞、過疎・過密の深刻化、所得格差の拡大と失業の増大、政治上経済上の各種のスキャンダルから麻薬・犯罪・非行などの激増そして地域・民族紛争の続発にいたるまで数えあげれば際限もありませんが、なかんずく一方で人と人との社会的・人間的関係が希薄になり、子供から老人にいたるまでの平安な充実した生活がおびやかされていること、および地球環境の破壊がいたる所でいろいろな形で急進し、人類のみかすべての生物の生存そのものがおびやかされていることが重大です。

 こういう問題にどう対処すればいいのか、先はかならずしもはっきりとは見えてきません。しかし何よりも、われわれ一人一人が、他力本願で国や企業やに頼るのでなく、自立・自助の志を強め、お互いに助け合い、知恵と力とを出し合って身近なところから少しでも事態の打開を図ること、そしてそれを通じて新しい価値観と生活様式とを創造していくことが不可欠であると考えます。

 JUON NETWORKはこういう一人一人の努力を結集し、大きな力のかたまりとし、21世紀を創り出していくための組織です。1人でも多くの同憂の士がすすんでわれわれの活動に参加され、盛りあげて下さることを切望します。

 参加の方法は、資金、活動、知恵、資材の提供等さまざまな形で可能ですし、活動の現場だけでなくネットワークによる参加その他いろいろな形が考えられます。ぜひ、この新しい活動をご理解いただくとともにご参加をお願いいたします。

 
釈迦は、おお昔に、「樹恩」を説いた。木がなければ人間は滅びてしまうと。(西岡常一)

動かない蜂の群を飛翔する群とするに必要なすべては1匹の蜂が羽をひろげ飛び立ってゆくことである。
そうすれば2番目、3番目そして10番目、100番目の蜂が続いて 最初の蜂にならうであろう。
(トルストイ)